そのダッシュボードが見られなくなる理由 - 型編
どうしてダッシュボードはダサくなってしまうんだろう、ということを考えていた時に素敵な記事に出会いました。
この記事ではダッシュボードを 5 つの型に分け、利用目的やシーンを解説しています。今回はこちらの記事で紹介されているダッシュボードをお借りしつつ、利用しやすい、わかりやすいダッシュボードについて考えてみたいと思います。要は目的とダッシュボードの型が合ってないと情報過多になってしまい結果として見られなくなってしまうっていうことです。
ダッシュボードには型がある
ダッシュボードとひとことで言ってみても、実は様々なタイプがあります。まず大雑把に区分するとポスター型とモニター型、アプリ型です。ポスター型は意志、意見、ストーリーを伝えるために作られたもので、大抵の場合企業内で使われるというよりはデータから得られた知見を説明するためのものです。モニター型は言わずと知れた KPI ダッシュボードに代表される、定期的にウォッチする指標をまとめたものです。アプリ型*1は様々な切り口による絞り込みやドリルダウンといった探索を可能とするダッシュボードです。
ポスター型
古い記事ですが、Tableau 界隈ではよく引用される記事を上げておきます。当たり前ですが、Tableau Public にパブリッシュされているものはほぼこのタイプになります。伝えたい内容が明確で、ユーザーにスクロール以上の操作を要求しません。フィルターやドリルダウンを多用すると、ユーザーが勝手な解釈をしてしまう可能性があるのでむしろあまり操作をさせない方がベター。
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モニター型
古くは探索型とか中立型とか言われていたものです。実はこの記事ではこのモニター型を深堀りしたいので、詳細は後述します。
モニター型のダッシュボード 4 選
モニター型のダッシュボードの代表的なものは KPI 型、QA 型、トップダウン型、ボトムアップ型の 4 種類です。一見同じもののように見えるのですが、それぞれ得手不得手があります。
KPI 型
KPI ダッシュボード作ってるよ!って方、そのダッシュボードにフィルターはいくつありますか? 3 つを超えていたらちょっと問題です。KPI ダッシュボードは一目で全体が把握でき、アクションを決定するものだからです。あくまでモニタリング (ウォッチ) を目的としており、なぜその事象が起きているかを分析・把握するためのものではありません。また、KPI ダッシュボードは定期的に目にするものです。それにいちいちフィルターかけたりドリルダウンしたりするでしょうか。しないですよね、面倒ですから。*3表示されるデータも一目で見てわかることを重視しますので、詳細なデータではなく集計されたデータを使用します。
QA 型
ビジネス上の質問とその答えを知るためのチャートが複数配置されたダッシュボードです。組織内の質問が同じデータに依るものとも、同じ粒度の質問とも限りません。どちらかというと組織の特定の状況を把握するためのもので、KPI よりは実際のオペレーションと密接な関係にあるチャートが配置されます。最初に紹介したブログ記事では、エグゼクティブまたは中間管理職が定期的にモニターするものとされてます。
アプリ型
これまで紹介してきたダッシュボードはフィルターやドリルダウンを多用しない方が望ましいのに対し、アプリ型はユーザーに自由な探索を可能にするため、むしろ多くのフィルターやパラメーターを配置します。アプリ型の場合は特定の問題を解決するというよりは、分布やクラスターの形状を知りたい場合が多いので、チャートは地図もしくは散布図を使用することが多いようです。
現場で出会うダッシュボードの多くはダッシュボードというより帳票作成ツールなんだと、この記事を作成していて改めて痛感しました。条件指定して、データ抽出して、それらしい帳票を作る。で、その帳票のことを (機能名として) ダッシュボードと呼んでいるだけだなと。ダッシュボードはその名の通り見て判断して次のアクションを起こすためのものであって、報告書のようなものであるべきではないんですね。