データ可視化のアイデア帳

データ可視化にまつわるあれこれ

ツールの使い方がわからないといって分析ができないわけではない (Viewer だって分析できるもん!)

Tableau の基本的なライセンス形態は、CreatorExplorer、Viewer の 3 種類です。*1それぞれ分析の各フェーズにおける役割が違います。Creator はデータの接続、整形、分析、共有などのすべてを行うことができ、使用できる製品は Tableau Prep、Tableau Desktop、Tableau Server (もしくは Online) です。Explorer と Viewer は Tableau Server (Online) を使用します。Explorer は 用意されたデータソース (tds) を元に新規ワークブックの作成や既存ワークブックの編集を Tableau Server 上で行うことができるのが特徴です。一方 Viewer は Creator もしくは Explorer が作成したワークブックの閲覧と、フィルターやパラメーターの操作を行い、ワークブック自体の作成や編集は行いません。

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※ あくまで筆者の理解です。細かい違いは必ず最新の情報を確認ください。

一般に、Viewer はデータを見て判断する人ということで、Viewer 自ら分析をするということは想定されていません。*2なので、Viewer の人たちは Tableau の Viz の作り方も知らないし、特段知る必要もないわけです。が、こういった棲み分けだと Viewer の人たちに必要だと言われるがまま Viz を作りまくり、ワークブックの作成とメンテに追われる Creator が疲弊していくという問題が発生しがちです。そこで、Viewer ライセンスでも操作でき、なおかつ操作が簡易なものを作れないか、というのが今回の記事です。(前振りが長くてすみません。。)

結論から言ってしまうと、今回は基本のパラメーターの使い方でこんなの出来たよ!って感じのご紹介です。出来上がりイメージはこちら。ユーザーが散布図の縦軸と横軸を (用意された項目から) 自由に設定でき、分析の粒度 (マークの粒度) とついでにメジャーによる色付けもできるようにしちゃおう!ってものです。これなら Creator がひとつダッシュボード作っておけば、あとは Viewer が好きに操作するだけ!メンテもダッシュボードひとつ分で済みます。

というわけで作り方はこちらから。

1.パラメーターの作成

ユーザーが項目を選択できるよう、パラメーターを作成します。

1-1.縦軸

縦軸でも横軸でも良いのですが、散布図の軸をどの数値にするか選択するためのパラメーターを作成します。パラメーターの作成から、プロパティを文字列、許容値をリストにします。許容値のリストにはデータソースに含まれるメジャー値を適宜リストアップしていきます。
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1-2.横軸

縦軸パラメーターを複製して、リネームします。以上。
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1-3.集計の粒度

集計の粒度を指定するためのパラメーターを作成します。縦軸、横軸はメジャー値から作成したのに対し、今度はディメンションを適宜設定していきます。
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1-4.色付け基準

今回はメジャー値を元に色付けするようにしたので、またも縦軸 (もしくは横軸) 用に作成したパラメーターを複製して、リネームします。ただし、色付けは不要という人のために、リストに「なし」という項目を加えておきました。
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2.計算フィールドの作成

たまにパラメーターを作成したのに画面に反映しない!というお問い合わせをいただきますが、パラメーター単体では何にもなりません。パラメーターを変数として変化する項目を作成しましょう。

2-1.縦軸

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CASE [パラメーター].[縦軸]
WHEN "売上" THEN [売上]
WHEN "利益" THEN [利益]
WHEN "割引率" THEN [割引率]
WHEN "数量" THEN [数量]
WHEN "出荷日数" THEN [出荷日数]
END

2-2.横軸

縦軸の計算フィールドを複製してリネームと、対象のパラメーターを変更しておきます。
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CASE [パラメーター].[横軸]
WHEN "売上" THEN [売上]
WHEN "利益" THEN [利益]
WHEN "割引率" THEN [割引率]
WHEN "数量" THEN [数量]
WHEN "出荷日数" THEN [出荷日数]
END

2-3.集計の粒度

軸とほぼ一緒です。
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CASE [パラメーター].[集計の粒度]
WHEN "オーダーID" THEN [オーダー ID]
WHEN "カテゴリ" THEN [カテゴリ]
WHEN "サブカテゴリ" THEN [サブカテゴリ]
WHEN "出荷モード" THEN [出荷モード]
WHEN "地域" THEN [地域]
WHEN "製品名" THEN [製品名]
WHEN "都道府県" THEN [都道府県]
WHEN "顧客名" THEN [顧客名]
WHEN "顧客区分" THEN [顧客区分]
END

2-4.色付け基準

軸の計算フィールドを複製してリネーム、対象のパラメーターの変更、あと「なし」選択時の項目を追加しておきます。
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CASE [色付け基準 (メジャー値)]
WHEN "売上" THEN [売上]
WHEN "利益" THEN [利益]
WHEN "割引率" THEN [割引率]
WHEN "数量" THEN [数量]
WHEN "出荷日数" THEN [出荷日数]
WHEN "なし" THEN NULL
END

似たような作業を延々やっていくだけといえばやっていくだけですね。

3.Viz の作成

3-1.基本の画面構成

列シェルフに [横軸] (計算フィールド) 、行シェルフに [縦軸] (計算フィールド) 、詳細に [集計の粒度] (計算フィールド) 、マークシェルフの色に [色付け基準] (計算フィールド) を配置します。それと、各パラメーターはパラメーター コントロールの表示をチェックして、パラメーター値を変更できるようにしておきましょう。
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これだけでも十分なんですが、ユーザー フレンドリーにするために少し見た目の調整をしておきます。

3-2.軸の調整

まず選択した項目が何なのかわかるようにしておきます。列シェルフに [横軸] (パラメーター) 、行シェルフに [縦軸] (パラメーター) を追加します。
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こうなると、[横軸] とか [縦軸] とか表記されているのが邪魔なので、軸の編集で軸の名前を非表示にします。どのバージョンから名前を入力しないのができるようになったんだっけ…
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パラメーターのフィールド ラベルも余分なので非表示にします。画面は列のフィールド ラベルですが、行のフィールドラベルも非表示にしてください。
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これでだいぶすっきりしたはずなので、後はダッシュボードでユーザー フレンドリーに!かわいらしく!使いやすい感じに編集してください。ダッシュボードの操作方法をタイトルとかに併記するとかっていう小技も地味に使えます。*3
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これにさらにフィルターを組み合わせたり、需要に応じてより複雑な Viz を作成することももちろん可能です。フィルターだけだとデータの「絞り込み」しかできないですけど、パラメーターを使うとより自由度の高い Viz になりますね。

*1:正確な説明はこちらをご参考ください。 www.tableau.com

*2:フィルターを駆使して自分の知りたいデータを抽出するという意味ではありません。

*3:そのうちテキスト (文字) に関する Tips も書きます。多分。