Tableau で全体と選択した一部を比較する
こんにちは。今日は、LOD (Level of Detail, 詳細レベル) の小技をメモしておこう! と書き始めたら、LOD の話にとどまらなくなってきてしまい、タイトルの通り「全体と選択した一部を比較する」シナリオについて書くことにしました。使っているデータセットは Tabloid にはおなじみの「サンプル - スーパーストア」です。
基本的なシナリオは、何か項目を選択した時に全体の情報を残しつつ、選択した項目の情報を把握するというものです。ちなみに Tableau 語では Proportional Brushing (プロポーショナル ブラッシング) って言いますが、(日本人だからか?) ピンとこないですよね。今回は 2 通りのやり方を書いておきます。
LOD で表現する
言葉で説明するより画像の方がわかりやすいですよね。なので↓を確認してください。
フィルターを選択しても、水色の全体の情報は失われずに、選択した項目は青色でハイライトされて表示されます。
これは、FIXED による集計がディメンションのフィルターの影響を受けないという性質を利用しています。詳細な仕組みの解説は既に他にもあるのでここでは割愛します。
[手順]
1.全体を表すメジャーを計算フィールドで作成します。上記の例だと
{FIXED [地域] : SUM([売上])}
2.オリジナルのメジャーと、作成した計算フィールドを使って二重軸の棒グラフを作成します。
3.色、軸の調整をします。(二軸の同期とか、片方の軸の表示をオフにするとか)
4.任意のディメンションをフィルターに設定します。
FIXED を使用して他にもメジャーを作成すれば、同じフィルターを利用しつつダッシュボードに情報をまとめることもできます。
Set Action (セット アクション) で表現する
LOD は Tableau 9.0 からあるクラシックな方法に対し、こちらは 2018.3 でできるようになった新しい方法です。セット アクションそのものの解説はリンク先のブログが日本語では最も詳しいと思います。
tableaujpn.blogspot.com
大雑把に言うと、セットのメンバーを動的に選択することができるようになるというものです。一見難しそうに思えるのですが、ダッシュボード (もしくはワークシート) アクションの種類がひとつ増えたという感じです。セットは計算式に代入することができるため、よりインタラクティブな操作を可能にします。
[手順]
1.選択に利用するディメンションを右クリックしてセットを作成します。セットのメンバーは何も選択しません。
2.Viz を作成します。棒グラフでもパイチャートでも好きなチャートでいいのですが、ポイントは 1.で作成したセットを [色] に配置することです。
※ この時点ではセットのメンバーが空なので、色分けは発生しません。
3.今回は、セットのメンバーを選択するためのシートをテキスト表として作成しました。セットのメンバーが含まれるなら地図でもチャートでもなんでも構いません。
4.2.と3.のチャートをダッシュボードに配置します。
5.アクションを設定します。
メニュー バーの [ダッシュボード] > [アクション] > [アクションの追加] > [セット値の変更] です。
設定項目は、名前、ソースシート (どのシートでセットのメンバーを選択するか)、アクションの実行対象 (実行タイミング)、ターゲット セットです。これまでのアクションと違うのはターゲット セットを指定する点だけですね。
これで OK をクリックすれば設定完了です。
この記事で利用したワークブックを Tableau Public に置きましたので、直接操作したい、中身を確認したい方はこちらから。この記事では触れなかったシートも入れてあります。
どうしても埋め込みだと見づらいという場合に備えてリンクも置いておきます。
public.tableau.com
図らずも同じ動作を LOD とセット アクションでやってみることになったのですが、セット アクションすごいなって思いました。LOD の制約を超えられる可能性がある!要研究です。